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むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに

「生存教室 ディストピアを生き抜くために」内田樹・光岡英稔

 

生存教室 ディストピアを生き抜くために (集英社新書)

生存教室 ディストピアを生き抜くために (集英社新書)

 

  マンガ「暗殺教室」を下敷きにした、教育論・師弟論についての対談本。マンガについては非常に疎いのだが、たまたま「暗殺教室」は数年前に1、2巻あたりを立ち読みしたことがあり、どんな物語なのかはだいだい把握していたので、この本も読みやすかった(今現在どんなストーリー展開になっているのかについては全くわからないが)。

 「暗殺教室」について一読した印象としては、「荒唐無稽なSFコメディ」くらいにしか思っていなかった。しかし、「先生を殺す」という課題を通して中学生が個性を伸ばしていく成長譚と考えれば、総合的な学習の時間の課題学習の1つだと思えなくもない。今度じっくり読んでみたい(調べてみたらもうすぐ完結する予定らしいし)。

 

 内田樹先生の他の著書同様、この本の中でも教師についての興味深い言及がたくさんあった。自省の意味を込めて備忘録的に記しておこう。

喩えるなら、庭師が花を育てるようなものです。陽はちゃんと当たっているか、栄養は足りているか、水はどうかと気を配る庭師はたしかに花の運命を支配しているわけですけれど、「オレはおまえたちの生殺与奪の権利を持っている。オレはおまえたち草花の支配している」というようなことを花に向かって誇ったりはしませんよね。だって、花と闘っているわけじゃないんですから。こちらの願いはただ一つ、「きれいに咲いてね」とか「熟れた果実をつけてね」ということなわけです。庭師の花に対する生殺与奪の権利は、花を「活かす」ためにのみ限定的に用いられるわけで、「枯らす」ためには決して用いられない。