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むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに

教科書に載っている実験=悪?

 理科の先生の中には、教科書に載っている実験に対して否定的な方々がいる(中には極端なほど毛嫌いする方もたまにいらっしゃる)。確かに、中にはなかなかうまくいかないような実験があったり、こっちの実験の方がやりやすいのにな、と思ったりすることは結構ある。

 しかし、専門家の方々が検討に検討を重ね、検定をパスした教科書に載っている実験が不適切なものであるはずがない。今実践している『学び合い』では基本的に教科書に沿って授業を進めていくので、教科書の実験も丁寧に扱っているが、改めてその実験内容を吟味してみると「よくできているなあ」と思い知らされる。特に実験の前後の内容などを熟読すると、「なぜその実験を行うのか」の部分がとても明解であることに気付かされる。

 

 今日1年生で「光合成葉緑体で行われることを確かめる」実験を行った。これまでの観察とは違い、中学校で初めて比較や条件制御が必要になる実験である。オオカナダモを脱色してヨウ素液で青紫色に染色するという教科書通りの実験をして、その結果から説明する、という課題を与えた。しかし、その実験の目的を生徒に十分伝えられなかったせいか、何のために実験をしているのか生徒がわかってない状況が生まれてしまった。机間指導をして「これって何のためにやっているの?」「どうなったらこの実験は成功と言えるの?」と尋ねると、答えられない生徒が続出したのだ。

 授業の最後にこんな話をした。

例えば、実験をしているエジソンに「あなたは何のためにこの実験をしているんですか?」と尋ねたら、必ず明確な答えが返ってくるはず。目的がない実験はない。ただ教科書に書いてあるから、教卓の上に準備してあるから、ではなく、必ず目的をもって実験をしなければならない。

 

 来週の最初の授業は、今一度その意識付けから始めたい。教科書に載っている実験そのものに良いも悪いもない。ただ教科書に載っているからという理由だけで、その意義を捉えずに流してしまうことこそが問題であって、きちんと目的を明確にすればどんな実験だって良いものになる、ということを思い知らされた授業だった。

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