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地方中学理科教師/アクティブ・ラーニング/『学び合い』/アドラー心理学/コーチング/

NEXT教育フォーラムに参加して

 2週連続大阪遠征1日目。大学時代の知人に誘われて、大阪は梅田で行われた「NEXT教育フォーラム」に参加。主催団体であるGlobal Shapers Community Osakaについてほとんど何の知識もないまま参加したところ、オープニングで「ダボス会議」などという言葉が飛び出し、何だか場違いなイベントに来てしまったのではないかと嫌な汗をかくところから始まった。

globalshapersosaka.org

 

 よく考えれば、職場にせよ各種研究会にせよ、普段から同業者のコミュニティの中にしかいないため、こうして民間主導のイベントに参加するというのは極めて貴重な体験だった。『学び合い』やアクティブ・ラーニングの背景を学ぶ中で、これからの社会情勢や雇用形態、ICTやAIといった技術革新などについては多少読んだり聞いたりしてきたつもりではあったが、それらの最先端に日々携わられている方々から直接語られる未来は、これまで自分が感じていた以上にワクワクするものだった。教育業界にとっては「変化=悪!」「子どもたちの未来=不安!」という文脈で語られがちだが、決して悲観的なことばかりではなく、むしろさらに多様性・可能性が広がっていくという捉え方をした方が自然だし面白い!と確信した。そして、これから来るべき社会の在り方を本気で考えたならば、「アクティブ・ラーニングっつっても今のままでいいですよ」とか「とりあえずちょっと話し合いの時間を入れてお茶を濁しましょう」レベルの対応で済ませることは犯罪的であるとさえ思った。

 思い返せば両親とも公立学校の教員で、自らも幼稚園から小・中・高・大に至るまで全て公立という半生を過ごす中で、「私企業的なもの」「市場原理的なもの」に何となく距離(嫌悪感?)を感じた結果として、自分は公立学校の教員という道を選んだとも言える。今回、民間主導のイベントという印象から、「教育の目的=自己利益の最大化・私利私欲の追求、みたいな話にならないといいけど…」と勝手に身構えていた節もあるのだが、登壇者やスタッフの方々からそのようなメッセージを感じることは一切なく、「この世の中(日本)を良くしたい!」という純然たる熱意から、こうしてアクションを起こしておられる方々がいらっしゃるのだということを知り、自らの邪推を恥じるばかりであった。

 

 どの方々も、民間というお立場から「何とか日本の教育を変えていきたい」「そのために学校の力になりたい」という点は一致しているのだが、なかなか学校側に浸透していかない、変わっていかないというのが実情のようだ。その理由として、

  • 民間だと学校教育としての質の保証が難しい
  • 教師のロイヤリティが奪われてしまう

という2点が挙げられていたが、それ以外にもっと単純で根本的な

  • 教師が多忙で余裕がない

という理由もあるように思う。どの学校も「外部の力を借りる」ということ自体は大いに歓迎する土壌はあるし、実際の教育効果も大きいだろう。しかし、例えば出前授業をお願いしようと思ったら、そのための外部との折衝や打ち合わせ、授業時数の確保や事前・事後指導など、学校側の負担は増大することが目に見えている。物凄く悪い言い方をすれば、そうやって外野に”掻き回される”のはちょっと…ということだ。学校や先生を少しでも助けようとして行ったことで、逆効果になってしまっては意味がない。

 昨今問題になっている部活動の負担についても状況は似ている。部活動には外部指導者登録という制度があるが、部活動が教育活動の一環である以上、外部指導者には学校の教育方針や顧問の指導方針について十分理解してもらう必要がある。その要請に同意してくれる人にしかお願いできないし、仮にそういう人が見つかったとしても、指導方針の擦り合わせに相当な時間とエネルギーを要する。「だったら自分でやった方が早いじゃん」となるのは自明だ。

 もちろん、多忙化ということに関しては学校の自助努力がまずは欠かせない。何人もの方がおっしゃっていたが、「何十年ぶりに母校に行くと、自分の頃と何も変わっていないことに驚いた」「先生の仕事を調べてみると、書いて写すとかプリントを数えるとか、『先生がしなくてもいい』という仕事が多い」という化石化している現状を、自らの手で変えていかなければならないことは言うまでもない。むしろ、そういった効率化こそ、民間のお家芸とも言える部分なのだから、気取らずにどんどん協力をお願いすべきではないか。

 実際に教育改革は待ったなしだし、こうして「力になるよ」と言ってくれる民間の方々はたくさんいらっしゃるし、学校だってまんざらではないのだ。今回のイベントのように、お互いが腹を割って本音をぶつけ合えば、必ず持続可能な落としどころがあるように思う。

 

 フォーラム全体を通じて最も印象的だったのは、箕面高校校長・日野田先生がおっしゃった「とにかく前向きに考えよう」「悪口を言っても何も変わらない」「私は『チャレンジして』と言うだけ。責任は自分が取る」という一連のフレーズだった。こうして教育者にとって何より大切な、Happy-Go-Luckyに生きる大人のロールモデルを子どもたちに提示することを自ら体現されているお姿こそ、何より見習わなければならないのだと感じた。この校長(上司)ー教諭(部下)という関係は、そのまま学級や授業における教師ー生徒の関係と相似形であることを改めて思い知らされた。

 

 最後まで場違い感が抜けないままだったが、場違いな立場だからこそ、普段とは違う角度からの学びが多かったかなと思う。登壇された方々、スタッフの方々、誠にありがとうございました。