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地方中学理科教師/アクティブ・ラーニング/『学び合い』/アドラー心理学/コーチング/

リヒテルズ直子氏講演会&ワークショップに参加して

 2週連続大阪遠征2日目。箕面子どもの森学園で行われたリヒテルズ直子氏講演会&ワークショップに参加。箕面子どもの森学園に行くのも初めてだったし、阪急千里線に乗るのも初めてだった。北千里駅からちょっと歩けば着くかな、と思ってたら思い切り逆方向に結構な距離を歩いてしまっていた。学園のHPに掲載されている道案内が非常に役立った。

kokucheese.com

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 リヒテルズ直子先生については、つい最近苫野一徳先生との共著「公教育をイチから考えよう」を読んだだけ、という極めて不勉強な状態で当日を迎えた。参加者の方々はオランダのイエナプラン教育に興味を持って学ばれたり実践されている方々が多く、こういったコミュニティが存在することが自分にとって新たな発見だった。前日のNEXT教育フォーラム同様、現場の先生以外の方々が半分以上を占めていたように思う。

 

 講演は今のヨーロッパでの教育の現状についてのお話から始まり、途中からイエナプラン教育の実践例として模擬授業形式のワークショップが行われた。内容はロールプレイを取り入れた道徳やディべートで、それら自体は日本でも決して珍しいものではなく、やってる先生はやってるよな…という印象を受けた。しかし、あくまでも先進的な取り組みとして一部の先生方が個人的に行っていることが多く、組織的・体系的に行われていることは少ない。また、大学での教員養成課程でこういった実践を学ぶこともほとんどないだろうし、さらに現場に出てからOJTとしてキャッチアップできるような機会が十分保証されている訳でもない(こうして時間とお金をかけて自分から学ぶしかない)。結局、ここでも前日のNEXT教育フォーラム同様、「教師が多忙で余裕がない」という現実にぶち当たることになる。

 

 また、講演の終盤でワールドオリエンテーションによる授業の進め方についても紹介され、マインドマップからテーマとなる課題を選ぶ場面で、教師は学習指導要領を熟知しているという立場から、子どもたちが必ず学ばなければならないことを学べるように配慮をする、というお話があった。しかし、中学生にとって大切なのは「学習指導要領の要件を満たしているか」ではなく「テストや入試で点が取れるか」だよな…と感じてしまった。アクティブ・ラーニングも含め、こうした授業形態に興味・関心を持ち、実践してみたいと考えている現場の先生方は決して少ない訳ではなく、むしろ多数派ではないかと思う。しかし、受験で点を取らせることを優先させねばならない現状から、旧態依然とした授業から抜け出せないという現実があるのかも知れない。前日のNEXT教育フォーラムでも、現役の高校生が「今の5教科の授業はあまり好きではない。『正解がない課題』に取り組みたい!」と発言されていたが、「先生だってそうしたいけど、現実はね…」という思いを抱いた現場の先生方は多いのではないだろうか。

 

 つまり、今の教育現場が抱える様々な問題の原因は、突き詰めていけば

  • 教師が多忙で余裕がない
  • 受験で点を取らせなければならない

という2点に収束していくのではないだろうか。そういう意味で、教師の多忙化について親玉的存在の部活動という制度を有し、高校入試という極めて重大な進路選択を控える中学校の現場が、最もその歪みが大きいと言えるのかも知れない。

 逆に言えば、その2点が改善の道を歩んだ場合、カリキュラムや授業形態の改革は、意外と加速度的に広まっていくのではないだろうか。実際に、部活動の休養日を増やすなどといった具体的な改善策は徐々に示されつつあるし、いよいよ入試改革も行われようとしている。時代の趨勢は確実に追い風であると言える。

 もちろん、外部から変えてもらうのを待つのではなく、現場でできることはどんどんしていかなけれればならないのは言うまでもない。教師の業務を精選したり、生産性を向上させていって、多忙化を軽減していくことは急務だろう。また、現行の入試制度で点を取らせつつ、かつアクティブ・ラーニングを実践していくためには、『学び合い』は一つの答えではないかと思う。

 

 …といったような取り留めもない感想を懇親会でリヒテルズ直子先生に直接お伝えし、さらに「じゃあオランダの教師の勤務形態や受験制度ってどうなっているんですか?」とあまつさえ質問までしたところ、「それはぜひ本を読んでくださいね」とアドバイスをいただいてしまった。おっしゃる通り、勉強が足りませんね。

 

 今回の大阪2日間は、普段とは異なり現場の外からたくさん刺激をいただいた。昔は「学校を民間と同じにしちゃいかんよな」という聖域観のような感覚を抱いていたけど、そういう二項対立的な単純な話ではないということにやっと気付けてきたように思う。そうした新たな視点から、日々の実践を見つめ直していきたい。

 

公教育をイチから考えよう

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