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むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに

卒業式までの数日間

 公立高校の入試と合格発表の週が終わり、残すは週明けの卒業式のみとなった。

 入試が終わってからの中学校生活は、生徒にとっては「蛇足」とも感じるものらしい。確かに教科の授業は全て終わり、専ら卒業式の練習ばかりである(後は球技大会などのお楽しみイベント系)。

 中学3年生の1年間(特に後半)は、進路指導がメインとなるあまり、あたかも中学校生活のゴールが「高校に受かること」と錯覚してしまいがちである(生徒や保護者だけでなく、教師にとっても)。もちろん、卒業後の進路を選択・決定することが中学校での最重要課題であることは言うまでもない。

 しかし、教育の目的はあくまでも「人格の完成」を目指すことであり、「大人」にすることである。どの上級学校に進むかや何の仕事を選ぶかは、目的ではなく手段に過ぎないはずだ。そう考えると、入試が終わってから卒業式までの数日間は、そうした教育本来の意味と素直に向き合える貴重な期間とも言える。

 実際、入試という最大の山を乗り越えた生徒たちは、皆大人びた表情に見える。とりあえず4月からの進路が決まった、大きな山をチームで乗り越えたという充実感に加えて、受験勉強の忙しさにかまけてあまり意識してこなかった卒業が間近に迫っているという寂寥感が入り交じった表情は、何とも言えない空気を醸し出している。

 個人的には、そんな独得の雰囲気に包まれる、この卒業式までの数日間が好きである。単なる教師対生徒という関係を超えた、より深みのある人と人とのつながりが生まれるような気がするのだ。残りわずかな卒業式までの日々を、深く噛みしめながら過ごしたい。