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むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに

複数時間用課題設定のススメ

 本格的に授業が始まって1週間が経った。去年の反省を踏まえ、今年度は『学び合い』授業を実践していくにあたって、ソフト面(語り)でもハード面(システム)でも入念に準備をして臨んでいる。

 ハード面で今年新しく導入したのが「学習シート」。3~8時間程度の小単元について、授業の計画表を作成し、事前に配布するようにしたことで、授業の見通しや連続性を把握しやすいようにした。そして、その小単元が終わった次の時間で行う「絶対評価テスト」で、全員80点以上取ることを目標に掲げている。そうやってシビアに結果を求めるようになったことも大きな変化だ。

 

 この「学習シート」を導入したことで、小単元に入る前に全体を見通した計画をきちんと作成するようになった(逆に言えば、これまではそういう見通しを生徒に示せていなかったということだ)。昨年度までは1時間単位での『学び合い』となるよう、1時間で終わるような課題設定を行ってきた。しかし、内容によっては1時間単位で刻むことが難しく、2、3時間にまたがった方がよいのではないかと自然に考えるようになった。

 例えば、「水溶液とイオン」の小単元の中の電気分解では、塩化銅と塩酸の電気分解を行い結果をまとめた上で、陰極と陽極にそれぞれ特定の物質が発生することを見出し、溶質が水溶液中で+or-の電気を帯びていることまでを考察しなければならない。これらを標準時数2時間の中に収めないといけないのだ。

 これまでの一斉授業のやり方では、たくさんの内容をどこで1時間ずつに切れば生徒の思考の流れがスムーズか、ということを授業者が一所懸命考えていた。しかし、切ることが難しいのならば、別に無理をして切る必要がないことに気が付いた。最初に2時間分の課題を与えてしまえば、後は生徒がそれぞれ自分のペースで学ぶことができる。どこで切るのかはそれぞれ生徒が自分で決めればいいことなのだ。

 複数時間に渡る課題設定をしたことで、いろいろな副産物も生じる。例えば、2時間目は課題を与える必要がないので、理科室に来た生徒から勝手に『学び合い』を始める(チャイムと同時に授業を開始するために、今年は最初と最後の全員声を揃えての挨拶も行っていない)。教師が何も言わなくても勝手に学び始める姿に、理科室が「研究室」に近付いてきた!と思い、ちょっと嬉しくなった。

 

 そして、この延長線上にあるのが、単元まるごとの『学び合い』なんだな、ということにやっと気が付いた。それに挑戦できる日もそう遠くないかもしれない。