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むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに

金大竜先生講演会

 地元の民間団体主催の教育講演会に妻と共に参加した。講師は大阪の金大竜先生。金先生はお名前だけは知っていたが、著書は読んだことがなかったので、事前に1冊だけ読んでから当日を迎えた。

www.papajungle.jp

 

 金先生は写真でお顔を拝見する限りではコワモテの方(失礼)かと勝手に思っていたが、第一声をお聴きした瞬間「何と優しい喋り方をされる先生だろう」と感じた。この声に満たされる小学校の教室というのは、それだけでも教育的効果は高いのではないかと想像する(と同時に、こういう声のトーンが与える影響ってやっぱり大きいんだな…と自省)。

 

 まず最初に「テクニックを真似しないでほしい」「やってみてうまくいかなくても子供のせいにしてはいけない」という断りからお話しされたことが印象的だった。その後のお話の中にもテクニック的な要素はほとんどなく、「文脈」や「○○観」といった言葉を多く使われていた事実こそが、教師が本当に学ぶべきものは何なのかということを示しているように感じた。

 

 特に印象に残った言葉は、「認めるとは、変われないことを認めること」というフレーズだ。自分は「子供を認める」などと簡単に言いつつも、結局変わることを強制してはいなかっただろうか。自分自身が変われない人間なのに、それを子供には当たり前のように求めていることがいかに傲慢な振る舞いであることか。アドラー心理学における「信用」(条件付き)と「信頼」(条件無し)の違いにも似ているなと感じた。

 他にも、「20年後に笑えることはOK、笑えないことはダメ」という基準にも思わず膝を打った。そう考えると、大抵のことは20年後には笑い話になるということなのだろう。

 

 穏やかな語り口で、一見優しさに溢れた指導観・生徒観なのだが、そこには金先生の強烈な「焦ってはいけないが、諦めてはいけない」という覚悟が潜んでいるように感じた。