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地方中学理科教師/アクティブ・ラーニング/『学び合い』/アドラー心理学/コーチング/

食塩と硝酸カリウムは同時に溶けるのか?

 中1で水溶液の単元では、物質の種類によって溶解度が異なるという内容を扱う。特に温度による溶解度の変化について、食塩はそ変化が小さく、硝酸カリウムは変化が大きい。このことから、硝酸カリウムは温度変化により結晶を取り出せるが(再結晶)、食塩はそれができない。その違いを使用して、「食塩と硝酸カリウムを分離するにはどうすればいいか」という、思考力を問う発展的な問題がよく出題される。

 この問題をするときに生徒から必ず質問されることがある。「同じ水に食塩と硝酸カリウムは同時に溶けるのか?」ということだ。つまり、溶解度は100gの水に溶ける量と決まっているが、同時に複数の物質を水に溶かした場合、溶解度は変わるのか?変わらないのか?が明らかにならない限り、問題を解くことができないというのである。

 高校・大学レベルになると「イオン積」や「電離平衡」などを学習することによって、イオンの種類が異なる場合溶解度はお互いに影響しないことが理解できるが、いかんせん中学生には難易度が高すぎる。実際に私自身も頭ではわかっていても、感覚的にはお互いに影響を与えそうな気がするのも事実である。

 

 そこで、理数科の面接練習をしている生徒と一緒に、今回実験をしてみた。

 

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 教科書によると、20℃の水100gに、食塩と硝酸カリウムはそれぞれ35.8gと31.6g溶ける。そこで、20℃の水100gに両方の物質を30gずつ溶かしてみた。

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 まず食塩30gを溶かす。当然溶ける。

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 ここに硝酸カリウム30gを加えると…

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 溶けた。合計60gという大量の粉末が溶けるというのは、やはり感覚的には意外である。

 

 さらに他の物質は溶けるのか?について調べるため、砂糖を加えてみることにした。調べてみると、ショ糖は20℃の水100gに203.9gも溶けるらしいので、とりあえず100gを溶かしてみた(ある生徒によると、小学校の理科の授業では「砂糖は無限に溶けるが、食塩は溶ける量に限りがある」と習ったらしい。それもなかなか乱暴な表現ではある)。

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 100gのショ糖。果たして溶けるのか。

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 溶けた。ショ糖なので溶解後の水溶液の粘度がすごい。ショ糖は電離しない(電解質でない)ので、食塩や硝酸カリウムとはまたメカニズムが違ってくるはずなのだが。

 

 これらの結果から、同時に複数の物質を水に溶かしても溶解度はお互いに影響しない、ということが自信を持って言えるようになった。何でもやってみるものである。