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むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに

「振り返りジャーナル」クラス編

 

「振り返りジャーナル」で子どもとつながるクラス運営 (ナツメ社教育書ブックス)

「振り返りジャーナル」で子どもとつながるクラス運営 (ナツメ社教育書ブックス)

 

 

 いろいろなブログ等で、特に『学び合い』を実践されている方々の多くが、4月からこの「振り返りジャーナル」に取り組まれているという内容の記事をよく見る。この本がちょうど2月に発売されたことで、新年度から取り組もうという機運が高まったのだろう。

 昨年度までも、「振り返りジャーナル」に近いことは毎年のように行ってきた。勤務校には「生活ノート」という”連絡帳兼日記帳”のようなものがあり、毎日日記を書いて朝の会で提出することになっている。他のクラスや学年と足並みを揃えるためにも、この既存の「生活ノート」のシステムを「振り返りジャーナル」に応用することとした。

 

 「振り返りジャーナル」では、”帰りの会で書いて提出→翌日返却”というルーティーンが良いとされているが、生活ノートは連絡帳も兼ねているので帰りの会で回収はできない。そこで、”帰りの会で書く→翌日の朝の会で回収”という、従来と同じルーティーンのままで行うことにした。本来ならば書いた内容に対してすぐにレスポンスを返すべきなのだろうが、致し方ない。

 帰りの会は10分間しかないので、5分連絡+5分振り返りというのが基本。入学直後という配布物や連絡事項が膨大なこの時期でも、できることは朝の会のうちに済ませてしまうなどの工夫をすることで、振り返りのための時間を何とか3分は確保できている。元々帰りの会で教師が長々と話をしたりするのは抵抗があったので(特に中学校は直後に部活動もあるし)、帰りの会カリカリとペンの音だけが聞こえる時間を数分間設けることができるというのは、落ち着いた1日の締めくくりという点でも意義が大きいと感じている。また、なかなか書くことに慣れていない生徒も、クラス全体が集中して書いているという雰囲気に感化されてペンを動かそうするという効果もある。

 

 振り返りのテーマは、朝の時点でホワイトボードに書いて黒板に吊しておく。この約2週間で設定したテーマは、

  • 最初の2日間を終えて
  • 担任の先生に言いたいこと、聞きたいこと
  • このクラスの印象
  • 部活動体験入部の中間報告
  • 担任が出張の日のクラスの様子
  • 1週間を振り返って(金曜日はこのテーマで統一する予定)

 などなど。今のこの時期はネタに困らないが、1年間継続しているかどうかは自分自身の課題だと感じている。

 

 朝の会で回収したノートは、空き時間に目を通してコメントを書く。約30人のクラスで、かかる時間は約20分。これまでと自分自身の意識が最も大きく変わったのは、やはりこのコメントの部分だ。昨年度までもコメントを書いていたけれど、妙に説教臭いコメントをしていたように思う。極端に言うと「コメントで担任としての考えを伝えよう」「コメントで生徒を変えよう」としていたということだ。しかし考えてみれば、下手なことを書くと担任から反論や説教のコメントが返ってくるのに、意欲的に書こうとする生徒はいないに決まっている。

  そこで今年度は、本に書いてあったように「うんうん!」「そうかー」「せやな!」みたいな全肯定するコメントを意識的に書くようにしている。長々と書くのに比べてコメントに要する時間が短縮されたのはもちろんだが、それ以上に大きかったのは、そういうコメントを書いている以上、直接子どもたちと関わるときも自然と同じような言葉がけになる、という点だ。「始めに言葉ありき」で、その言葉によって自分自身が主体変容していくのを少しずつだが実感しつつある。

 

 まだまだ手探りではあるが、1年間続ける価値があることは間違いないと感じている。小学校での取り組み例が多いので、中学校での具体的な実践例について、他の実践されている先生方のお話も聞いてみたい。