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むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに

世の中の大抵の疑問と答えはYahoo!知恵袋にある

 3年生は大単元「地球と宇宙」に入った。最初の小単元「宇宙の広がり」は、宇宙や太陽系についての調べ学習的な要素が強い内容なので、いつもの理科室ではなくパソコン室で授業を行っている。1人1台のパソコンが自由に使えるので、フリーソフトmitaka」を使って銀河系や太陽系について調べるなど、生徒たちは興味津々で学習を進めている(余談だが、宇宙というと生徒たちは決まってすぐにブラックホールについて調べたがる。ブラックホールの何がそこまで中学生を引きつけるのかと毎年疑問に思う)。

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 この小単元の中で生徒にとって混乱しやすい内容の1つとして、「銀河」と「銀河系」の違いを区別する、というものがあるが、パソコンが自由に使えるのでgoogleなどで検索して課題を解決しようとする生徒も少なくない。「銀河 銀河系 違い」といった語句で検索すると、ほぼ100%に近い確率でYahoo!知恵袋のページが上位に表示される。毎年何十万人の中学3年生が同じ内容を学ぶのだから、同じような疑問を過去の先人たちも当然抱いているのだ。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

 

 先月、1年生の「状態変化」の小単元で登場する枝付きフラスコについて、ある班から「先生、これって『えだつき』って読むんですか?『えつき』って読むんですか?」という質問を受けたことがある。「枝」という漢字を「え」と読むことは通常ないので(だから教科書にも読み仮名が振られていない)、なぜそんなことを疑問に抱くのか訝しく思いつつも、理科室にもパソコンが1台あるので「折角だからパソコンで検索してみたら?」と提案したところ、「枝つきフラスコの読み方を教えてください!『えだつき』?『えつき』?両方可ですか?」というそっくりそのままドンピシャなYahoo!知恵袋のページがヒットして、思わず笑ってしまった。しかもご丁寧に、

そもそも”枝”は「え」とは読みません(読ませる場合もあるが本来は間違いで、”柄”と混同しているのではないかと思われる)。

という誤解の原因まで看破されてしまっていた。

Learn from the mistakes of others. You can’t live long enough to make them all yourself.
他人の失敗から学びなさい。あなたは全ての失敗ができるほど長くは生きられないのだから。

という英語の名言を思い出した。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

 

 ちょうど今、飯間浩朗著「辞書を編む」という国語辞書の編纂作業についての新書を読んでいる。その中で、現物の入手困難な百科項目(この本の中では例としてアサイーが挙げられている)についての語釈を作成するときに、インターネットで検索をして情報を集める、というエピソードがあり、最後はこう締めくくられている。

ネットに頼りきってはならないのは当然です。しかしまた、インターネットという道具があるのに、それを活用しないのは、怠慢のそしりを受けるでしょう。 

 

 学校文化とネット社会は何かと食い合わせが悪いが、子どもたちは将来ネット無しでは生きられない以上、授業の中で正しい使い方や距離の取り方を学ぶことこそが大切なのだと痛感した出来事だった。

 

辞書を編む (光文社新書)

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